換地処分が終わって、清算金の処理も終わって、「さて、あとは解散」という段階になって、従来から強硬に区画整理事業に反対していた組合員が行政不服審査請求や取消訴訟を(やっぱり)起こしてきたなんてことがよくありますよね。
この場合、法的には、行政不服審査請求や取消訴訟の決着がつくまで組合は解散できないものでしょうか?
もし解散できないとしたら、取消訴訟(裁判)などは、普通にやって1審の決着までに1年以上はかかりますので、組合の解散がのびのびになることになります。

で、回答ですが、法的には組合は解散できます。
行政不服審査請求や取消訴訟が審理中であっても、組合の解散を阻止するような効果はありません。

条文を説明すると、
(1) 行政不服審査法第34条第1項や行政事件訴訟法第38条第3項には、審査請求や取消訴訟には、処分の効力、処分の執行、手続きの続行を妨げないことを規定していること、
(2) 土地区画整理法第45条第1項には組合の解散事由が掲げられていますが、審査請求や取消訴訟があると解散できないとは規定していないこと、
から、審査請求や取消訴訟がなされていても、解散はできると考えることになります。

また、実質的に考えても、組合の清算手続では、債権者に債権を届け出るように催告を行い、届け出られた債権については弁済しなければ清算手続を終了させることができないことになっていますので、組合の解散を認めても、行政不服審査請求の審査請求人や取消訴訟の原告の利益を不当に害するわけではない、ということができるからです。

注意しなければならないのは、行政審査請求や取消訴訟は、組合解散後の清算法人が引き継ぐことです。つまり、行政不服審査請求や取消訴訟が終了するまでは、いずれにしても、組合の清算手続きは終了しません。

法的には以上のように説明できますが、行政不服審査請求や取消訴訟が係属している間は、認可権者の行政がなかなか組合解散の認可を出さないことがあります。
これは、行政審査請求や取消訴訟に理由がある(たとえば、換地処分の取消が認められた)ということになると、組合の解散も取り消して、換地処分をやり直さなければなりませんし、また、(取消訴訟ではなく)損害賠償請求訴訟が係属しているような場合には、解散して清算手続きを進めてしまうと、あとで賠償すべきお金がなくなってしまう可能性もあるからです。認可権者としての責任も問われかねませんので、解散させても大丈夫か?という点を慎重に吟味しているということができるでしょう。

しかし、行政不服審査請求や取消訴訟に明らかに理由がない場合には、行政の方でも解散を認可しており、実際に、私も取消訴訟が係属しているにもかかわらず、解散が認められた組合の訴訟代理人をしていたことがあります。

参考文献:

土地区画整理法制研究会編『実務問答土地区画整理』(ぎょうせい)641頁