換地処分『後』に仮換地の売買があった場合、清算金は土地区画整理法129条により買主に承継されるのか?それとも売主のところにとどまるのでしょうか?

この問題に対する回答は、最高裁昭和48年12月21日判決及びそれを受けて出された大分市長あて建設省都市局区画整理課長回答(昭和49年2月19日建分都区発10)により、

換地処分後の土地について所有権又は借地権等の移動があっても、施行者に対抗できる特約(民法467条の対抗要件を備えた交付清算金債権の譲渡又は施行者の承諾のある徴収清算金債務の引受の特約)がない限り、清算金の徴収又は交付は、換地処分時の権利者に対して行うものとして取り扱う。

というものです。つまり土地区画整理法129条の適用はなく、売主に帰属するわけです。

では、換地処分『後』ではなく、換地処分『前』に仮換地の売買が行われた場合にはどうなるのでしょうか?

この論点については、恥ずかしながら私はずっと勘違いをしていたのです。

私は、換地処分の公告があった日の翌日に換地計画で定められた清算金が確定するのだから(土地区画整理法104条8項)、その時点の権利者に清算金は帰属する、というふうに考えていたのです。つまり、換地処分前に仮換地の売買がなされた場合には、換地処分の公告の翌日の土地の所有者は買主なわけですから、『買主』が清算金の交付又は徴収を受けると考えていたのです。

ところが、実は、仮換地の売買で清算金交付金について特約がなく、その後、予定どおりに換地がされた場合、同交付金は『売主』に帰属するというのが最高裁判例(昭和37年12月26日)だったのです。最近でも、松江地裁で同趣旨の判決が出ています(松江地裁平成12年11月27日判決)。

その理由は「土地の売買は、通常、土地自体の価値に着目して定めるものであるから、清算金が交付される場合(いわゆる不足渡し)、これが買主に帰属すると解するときは、買主は小価値の換地を小価値に評価して買い受けたのだから何ら損失がないはずであるのに清算金を入手して不当に利得することになるのに反し、売主は、価値の大きい従前の土地を失いながら価値の小さい換地を小さい価格で売り渡したのであるから、公布清算金の額だけ損失を被ることとなり、また清算金が徴収される場合(いわゆる過渡し)、逆に売主が不当に利得することになり、いずれの場合にも不公平が生ずる。」などと説明されています。

実務的には、仮換地の売買がなされるときには、通常、仮換地証明の取得などで組合に連絡があり、その際に、組合は、売主と買主のどちらに清算金を帰属させるのかについて何らかの書面を提出させるでしょうからあまり大きな問題になっていないのかもしれませんが、少々間違い易いところですので(自分のことを棚に上げて恐縮ですが)気を付けたいところですね。