先日、賦課金の税務について質問を受けましたので、簡単にまとめてみたいと思います。

問題は、組合が組合員に賦課金を課した場合、組合員はその賦課金を税務上どのように取り扱ったらいいのか?ということになります。

この問題については、実は、平成18年7月5日付で国土交通省都市・地域整備局市街地整備課長から国税庁課税部審理室長に対し「土地区画整理事業のために支出する賦課金の課税上の取り扱いについて(照会)」
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/bunshokaito/shotoku/060707/02.htm
という文書による照会がなされていて、その照会に対し、国税庁課税部審査室長が「ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。」
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/bunshokaito/shotoku/060707/01.htm
と回答しているので、その照会書に記載のとおり取り扱ったら良い、というのが回答になります。

では、その照会書にはどのようなことが書かれているかというと、2つに場合分けをして考える必要がります。
それは、賦課金を
(1)総事業経費の不足額に充てるために徴収する場合
(2)換地の工事費の不足額に充てるために徴収する場合
の2つです。

で、(1)の「賦課金を総事業費の不足額に充てるために徴収する場合」については、総賦課金を
① 換地の工事費に係る部分
② 道路等公共施設の工事費に係る部分
③ その他の事務費や借入金利に係る部分
に分け、その比率で各組合員の賦課金も按分して、上記の①~③に分けるのです。
そして、税務上、①については換地の取得費、②については繰延資産、③については必要経費又は損金として処理することになります。
この場合、個々の組合員は、自分の賦課金のいくらが①から③にあたるかは分からないでしょうから、組合としては、同照会書の中にある賦課金内訳書
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/bunshokaito/shotoku/060707/pdf/5171_01.pdf
を交付してあげて、組合員が賦課金の税務上の処理を遺漏なく行えるようにしなければならないでしょう。

次に、(2)の「換地の工事費の不足額に充てるために徴収する場合」ですが、この場合には、全額が「換地の取得費」として扱われるとのことです。具体的には、「賦課金の徴収に当たり、各組合員が取得する換地に係る工事費の不足分として徴収するものであることが組合員に説明され、そのことが当該徴収に係る総会又は総代会の決議により明らかにされている場合で、かつ、換地に係る事業費の総額が賦課金の総額を上回っているなどどの議決内容が実態に相応していると認められるときには、その賦課金は、換地の取得価額として取り扱われる。」とされています。税務申告の際の資料として、組合員は、総会又は総代会議事録と賦課金内訳書を組合より入手し、保管しておく必要があると言っています。

では、組合としては、(1)の「賦課金を総事業費の不足額に充てるために徴収する場合」で処理すべきなのでしょうか?それとも、(2)の「換地の工事費の不足額に充てるために徴収する場合」で処理すべきなのでしょうか?もちろん、工事も換地処分も全て終わって、あとは借入金を返すだけなどという場合には、(2)で処理しようとしても出来ないのですが、賦課金が問題となる大部分の組合では、まだ換地処分前という場合が多いように思いますので、(1)でも(2)でも処理できる場合がほとんどでしょう。

この点、組合員が法人であれば、上記の(1)で処理されてもあまり不都合は感じないかもしれません。①の「換地の工事費に係る部分」は、換地の取得費として、貸借対照表の土地の金額に加算されることになりますが、土地を売却するときには、土地の取得原価となって法人税の軽減に役立ちます。②の「道路等公共施設の工事費に係る部分」も、いったんは、貸借対照表上の繰延資産に計上されますが、毎年、償却費部分を損金にできますので、これまた法人税の軽減に役立ちます。さらに、③の「その他事務費や借入金利に係る部分」も損金として扱われますので、賦課金を支出した年の損金として、法人税の軽減化に役立ちます。

しかし、個人の組合員は、その土地で事業を行っている人を除き、②の繰延資産や③の損金は税務上何の役にも立ちません(何らかの所得に対する損金にならないということ。)。唯一、①の換地の取得費が、土地を売却するときに、譲渡所得税の軽減化に使えるくらいです。

したがって、組合員の大部分が個人の組合である場合には、上記(2)の「換地の工事費の不足額に充てるために徴収する場合」として処理する方が、組合員全体の利益になるのです。

ただ、上記(2)で処理するのは、前述のとおり、賦課金決議をする時点で換地に係る工事費が、賦課金額以上に残っていなければなりませんし、事前に賦課金を決議する総会又は総代会で、賦課金を換地の工事費に充てるために徴収するものであることを説明して、それを議事録に残しておく必要があります。この説明と議事録の点は忘れがちなので注意しなければなりませんね。