今回は、実務上、まだどのように処理したらよいか固まっていない問題を扱いたいと思います。

 土地区画整理組合の総会で賦課金決議をしたにもかかわらず、組合員が賦課金を納付しない場合、組合は、都道府県知事の認可を受けて、「地方税の滞納処分の例により」、その組合員に対し、滞納処分をすることができます(土地区画整理法第41条第4項)。「地方税の滞納処分の例により」とは、「地方税法を適用して」という意味と考えて良いでしょう。したがって、組合は、知事の認可を受ければ、地方公共団体と同じように、地方税法に基づき、突然、組合員の取引銀行や法務局に行って、組合員の預金口座や不動産を差し押さえることができるのです。差し押さえた後は、銀行から預金を引き出してもらったり、不動産については公売を実施したりして、賦課金の回収に充てることになります。

 

 ところで、ここで問題にしたいのは、滞納処分を始めるときの問題ではなく、一度始めた滞納処分をどのように終わらせるかという問題です。組合員の中には本当にお金がなく、自宅等の不動産についても銀行の抵当権がびっしりとついているということがあります。つまり、およそ賦課金の回収が困難という場合があるのです。そのような場合、組合としても、いつまでも待つなどと悠長なことは言っていられませんので、最終的には、滞納処分をやめて、賦課金債権の処理(放棄)をしなければなりません。それをどう行うかの問題です。

 

 で、賦課金の滞納処分は、「地方税の滞納処分の例」により行われるのであるから、この場合も地方税法が適用されると考えると、どのようになるのでしょうか?

 

 この点については、地方税法第15条の7に規定があり、まず、

① 滞納処分をすることができる財産がないとき。

② 滞納処分をすることによってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。

③ その所在及び滞納処分をすることができる財産がともに不明であるとき。

 

という事情があるときは、滞納処分を停止させ、差押えの解除をしなければならないと規定されています(同法第15条の71項・第3項)。この点はもっともなのですが、問題はその次のです。それは、滞納処分を停止させれば直ぐに債権が消滅するというわけではなく、「その執行の停止が3年間継続したときは、消滅する。」と規定していることです(同条第4項)。つまり、地方税法に従うとすると、3年間も賦課金債権を持ち続けなければならないということになるのです。

 しかし、実務上、賦課金の回収が大部分終了しているということは、既に施行地区内の工事がほぼ終了し、保留地の販売も完了していることが多く、あとは解散に向け賦課金の処理のみが残っているに過ぎないという場合が普通です。したがって、賦課金を処理するのにあと3年もかかるということになると、実務上、著しく不都合なのです。

 

 そこで、あまり文献がない(少なくとも私は発見できていない。)のですが、私は次のように考えています。

 

1.      まず、条文解釈ですが、土地区画整理法第41条第4項は、「組合の理事は、都道府県知事の認可を受けて、地方税法の滞納処分の例により、滞納処分をすることができる。」と規定しているから、「滞納処分をする」ときに地方税法が適用になることは間違いないものの、滞納処分を停止するときや滞納処分に係る賦課金請求権を消滅させるときまでも、地方税法を適用すべしとまでは言っていない。したがって、この点は解釈に委ねられている。

 

2.      実質的に考えても、滞納処分をするときには、不当な滞納処分が行われることを防止し、滞納者の権利を守るために、地方税法(さらには国税徴収法)の厳格な手続を守らせる必要があるが、滞納処分の停止や、それに係る賦課金請求権の消滅は、どちらかというと、(滞納者ではなく)組合員の利害にかかわるところであるから、総会や総代会等の組合員の機関に処分を任せれば十分である。

 

3.      さらに、国や地方公共団体は永久的な期間であるから、滞納処分停止後3年間、納税義務を消滅させなくても大きな不都合はないが、土地区画整理組合は存続期間が限られた組織であるから、滞納処分停止後3年間も賦課金納付義務を消滅させることができないのでは、著しく不都合である。

 

4.      加えて、地方自治法第96条第1項第10号は、地方議会が権利の放棄を決議することを認めており、例えば地方議会がある納税者に対する権利を放棄したときには、その部分について不納欠損処理を行うことができる。したがって、この規定とのバランス上、土地区画整理組合でも、総会又は総代会で賦課金請求権の放棄が行われれば、不納欠損処理(債権放棄の処理)が行われてよいと考える。

 

以上のように私は考えているのですが、これまでの経験では、総会又は総代会の決議で賦課金の放棄を認めてくれた地方公共団体が2つ、絶対3年間待たなければだめと言ってきた地方公共団体が1つです。指導・監督機関である地方公共団体から「3年間待たなければならない」と言われれば、私は単なる街弁護士に過ぎないので粛々とその判断に従うことになりますが、組合員にとって利益になる議論ではないので、滞納処分の停止や賦課金債権の消滅に関しては、地方税法の規定は適用しない方が良いように思います。


皆様はどのように考えますか?


◆弁護士 飛田 博