今回は、「土地区画整理組合は、登記簿上の名義人以外を所有者であると認定できるのか?」という問題を扱いたいと思います。

一般に、組合設立の際に地権者の同意書を取得する(法18条1項)ときや、換地処分の通知(法103条1項)をするときには、施行地区内の登記を調査して、登記簿上の名義人を所有者と認定して、この者から同意書を取得する、又はこの者に対して換地処分の通知をするのが実務です。

しかし、これには例外があり、登記名義人が既に亡くなっているが、相続登記が未了の場合には(登記名義人ではない)、相続人から同意書を取得し、又は相続人に対して換地処分の通知を行うことになります。(街づくり区画整理協会『土地区画整理事業 実務問答集(第3版)』58頁参照)。 

では、その他に、「登記名義人を所有者として認定する」という原則に例外はあるのでしょうか?

この点、意外に思われるかもしれませんが、土地区画整理法には、「登記名義人を所有者として認定しなければならない」などと規定する条文はないのです。具体的には、法18条1条は、同意の対象者について「施行地区となるべき区域内の宅地について所有権を有する全ての者」と規定し、法103条1条は、換地処分の通知の対象者を「関係権利者」と規定しており、「登記済みの所有者」とか「登記を有する関係権利者」などと規定しているわけではありません。(松浦基之著『<特別法コンメンタール>土地区画整理法』110頁参照)

そうであるにもかかわらず、どうして登記名義人を所有者として扱っているのかについてですが、これは一応登記があれば権利者であるとの強い推定が働きますので(登記の推定力)、実務上、登記名義人を所有者であると認定しているのです。

しかし、我が国の登記は公示手段に過ぎず、間違って登記がされている場合に、その者を所有者と見做す公信力まではありません。そこで、相続発生の場合には、登記名義人以外の者(相続人)を所有者として認定することが認められるのです。

したがって、他の事例、たとえば、私が遭遇した例では明治時代の村有地が村の住民の共有として登記され、その後、その土地が第三者に売却されたが、登記が未了のまま現在に至ってしまったような場合、ある程度証拠は揃っていましたし、現在の所有者は裁判上時効取得を主張すれば確実に所有権が認められる者でしたので(注)、登記名義人ではなかったものの、所有者として認定し、換地処分の通知先として扱ってよいと考えました。

 

難しい問題ですが、一部に、登記名義人からしか同意書を取得できないし、登記名義人に対してしか換地処分通知を出すことが出来ないと考えている方もいらっしゃるようなので、念のため。

 

◆弁護士 飛田 博